秀808の平凡日誌

最終話 終焉

 最終話 終焉

 アズラエル達のおかげで、永きにわたる『REDSTONE』をめぐる戦争は幕を閉じた。

 その後のロレッタ達や、ファントム達は、今・・・。





 古都ブルンネンシュティグ城 科学実験室

 例の3人組の1人、ラベルの声と医師の声が響き渡る。

「マテやクソガキィィィ!!!これ打てばお前の薬物依存症が治るんだぞ!?逃げるな!」

「あぁ!?テメー注射はやめろっつってんのがわかんねーかおい!?いてぇんだよ!・・・こっちくんなー!」

 そのラベルと医師の追いかけっこを、すでに薬を打ち終わったレーシェルとミーシャが笑いながらみていた。

「・・・まったく、あっちのがうるさいっての・・・」

「ホント、それに、ここの建物の構造、よくわかんないし」

「・・・でもさぁ、レーシェル」

「あ?」

「あの薬、打たなかったら、俺達死んでたんだろ?」

「・・・まぁ、そうなるかな」

「・・・だったら、敵の俺達をここにつれてきたあいつらに、感謝しねーとな・・・」

 レーシェルは、口元に笑みをうかべながら、言う

「当たり前だろ?この依存症が完全になくなったら、ここの兵士達のメンバーとして特別にいれてもらえるんだ、礼はそれで一生懸命やりゃあいいさ。」

「・・・だね」




 古都ブルンネンシュティグ 西門

 ファントムとキャロルが荷物をまとめ、今古都をでようとしていた。

 それに気付いたラムサスが、走りよって話し掛ける。

「・・・おい、お前らどこいくんだよ?」

「・・・む、ラムサス・・・か・・・」

 気付いたファントムとキャロルが歩みを止め、ラムサスに振り返る。

「どうした、ラムサス?」

「いや、ここにいてもいいって王から許可もらったのに、どこいくんだろうなって」

「・・・私たちは、しばらく旅にでるつもりなの」

 それを聞いて、ラムサスは驚く。

「ど、どういうことだよ!?」

「教えてやろう」

 キャロルの代わりに、ファントムが答える。

「・・・私たちは、あそこにいきつくまで、数多くの町の資料館や施設を襲い、破壊したこともある。その町に人たちに、誤りにいかなければならない」

「・・・そう、か」

 ふと、ラムサスは思った。

 誤っただけで、許してもらえるとは思わなかった。たぶん、戻ってくることはすごい時間のかかることだろう。

 それが、不安だった。

「・・・それじゃあ、な。いくぞ、キャロル」

 ファントムが向き直り、行こうとすると、キャロルが言った。

「あ、先に行っててください、兄さん。すぐ行きますから。」

「・・・わかった。」

 そして、スタスタといってしまうファントム。ヘイストがかかっているのだろうか?

 そんなことを考えていると、キャロルが話し掛けてきた。

「・・・ラムサス、ちょっといいかな?」

「な・・・なんだ?」

「・・・ちょっと、目、つぶっててくれない?」

「え?なんで?」

「・・・いいからっ!」

 そういう彼女の頬は、少し赤く染まっていた。何か言いたいことでもあるのだろうか?

「・・・わかったよ」

 そして、目をいわれたとおりにつぶった。

 つぶってる間に、キャロルとの色々なことを思い返していた。

 ウルフの巣穴で起きた出来事や、その短い時間で話した言葉の、一つ一つを丁寧に思い出していた。

 目をつぶってから、結構たった気がする。

 「もう、いいか?」と聞こうとした瞬間。

 柔らかいものが、ラムサスの唇に触れた。

 驚いて目をあけると、彼女の顔がすぐ目の前まできていた。

 とじていた瞳が急に開いたので、驚いてキャロルも後ろに下がった。

「・・・ちょっと!ちゃんと閉じててよ・・・」

「あ、ご、ごめん・・・」

 そういって彼女の方を見ると、なぜかこちらをみないようにそっぽを向いていた。

 照れているのだろうか?

 そう思っていると、キャロルがいう。

「・・・じゃ、兄さん追いかけないといけないから・・・」

「・・・ああ、『また』な・・・」

「・・・うん」

 そして、キャロルはファントムを追いかけていった。

 その後姿が見えなくなるまで、ラムサスはその場に立っていた。



 古都ブルンネンシュティグ 病院

 病院の後ろにある丘に、レクルはロレッタを呼び出していた。

 その丘からは、海が一望できる。

 時間は夕方、夕焼けが美しくあたりを照らしている。

 レクルがまっていると、いつもの鎧姿で、ロレッタが来る。

「・・・こんなところに呼んで、何か用?」

「ちょっと、聞きたいことがあってな・・・」

 ロレッタが、レクルのすぐ横に座る。

 座るのを確認したあと、レクルが言葉を続ける

「・・・お前、俺と初めてあったとき、『ヴァン』って呼んだよな。俺を」

「・・・うん。」

「その、『ヴァン』ってやつのこと、全て話してくれないか?」

「え・・・?」

「何か、ひっかかるんだ。心の片隅に、な」

「・・・わかった」

 そして、今までの思い出話といえるような話を、全て話した。

 その話をしている最中、レクルは一切言葉をはさまず、ただうなづくようにその話を聞いていた。

 そして、結構な時間がたった

「・・・というところかな。あたしがはなせることは」

「・・・そうか・・・」

 レクルが、ロレッタの方を向き、言った。

「その話が正しいなら、俺は、その『ヴァン・レグール』という人物ということにならなければ、俺のひっかかることと一致しない・・・というのが、俺の考えだ。」

「じゃあ・・・」

「そう、俺は前まで、『ヴァン』という人物だった」

 その答えを聞いた瞬間、ロレッタの心の中から不安なものが消えていった。

「・・・だが、ひとつ聞きたいことがある。」

「・・・?何?」

「確かに俺が『ヴァン』ということはわかった、だが、俺はお前との思い出が一切思い出せない・・・どうすればいい?」

 何をきかれるかと思ったが、なんだ、そんなことか。

「大丈夫、それは・・・」

「・・・?」

 こっちを向いて、答えを待っているレクルの肩を寄せる

「・・・これから作ればいいんだよ・・・」

 そして、ロレッタとレクルの、2つの唇が・・・重なった。

「・・・!」

 レクルは、いきなりのことに、身を離そうかと思ったが、その感触に目をつぶり、しばし身を任せた。







 [後書き]

 さて、皆さんこんにちは、GFです。

 小説の第2作、いかがでしたでしょうか?

 自分でも、2作目を書くとは思わなかったので、微妙な心境です。

 書くのが苦手な戦いシーンが多かったですしね。
 
 さてここで裏話をいたします。

 実は、ここまで執筆をすすめるまで、かなり分岐が迷いました。

 本当はファントム・クラウンと例の3人は死なせる予定だったのですが、

 今回は死ぬことなく、そのまま生き延びています。

 ま、作者の勝手ということで。

 第3作を書くかは、わかりません。

 書くとしても、赤石とはかけはなれた話になりそうです。

 第2作も最後まで読んでくれた方々、まことにありがとうございます。

 これからも、GFとこの(つぶれかけた)ブログを宜しくお願いします。
  


© Rakuten Group, Inc.